東京高等裁判所 昭和28年(う)1022号 判決
被告人 松井徹 外
〔抄 録〕
被告人A及び同Bの弁護人甲の控訴趣意第一点について。
本件訴訟記録を調査すると、原審相被告人Cの弁護人Zから、昭和二十七年三月三十日付をもつて提出された、右被告人に対する窃盗被告事件について同年四月四日午前十時と指定された公判期日を御受けした旨の公判期日請書(記録第六六六丁)が編綴してあり、右請書に徴すれば、原審が昭和二十七年四月四日午前十時の公判期日を指定した事実をうかがい知ることができるばかりではなく、原審においても弁護人として審理に立ち会つた鈴樹弁護人が、当公判廷において、同弁護人の法廷日誌に基いて、原審においては昭和二十七年四月四日にも公判が開廷され、その公判期日には被告人等の各本人尋問がなされた旨陳述し、当公判廷に出席した検察官もまた、第一審検察官の公判立会備忘録に基き、右事実を肯定する旨陳述したことを綜合すれば、被告人等に対する原審における公判期日は昭和二十七年四月四日にも開廷され、右公判期日には被告人等に対する各本人尋問が行われた事実を認めることができる(斯様な事実は罪となるべき事実ではないから必ずしも刑事訴訟法に基く厳格な証拠方法によつて認定する必要はないものと解する。)。ところが、本件訴訟記録には昭和二十七年四月四日の公判期日についての公判調書を欠いているが、この訴訟手続の違背は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決はこの点において破棄を免れない。